漁火マップ マップを開く →

2012〜2026年・168期間の衛星データ

漁火はいつ・どこで
見えるのか

夏の夜、水平線に点々と並ぶ光。あれはイカ釣り船の集魚灯です。 人工衛星はその光を毎晩撮っていて、データは公開されています。 14年分を集計して、どの海で何月に漁火が濃いのかを月別にまとめました。

31海域全国を月別に集計
14年分単年の偶然を減らす
13か所陸から見える場所

WHAT IS IT

漁火とは何か

漁火(いさりび)は、夜にイカを獲る船が灯す集魚灯の光です。 イカは光に集まる性質があるので、船は強い明かりを海面に向けます。 一隻でも相当に明るく、それが何隻も並ぶので、 数十km離れた陸からでも水平線上の光の列として見えます。

この光は宇宙からも見えます。アメリカの気象衛星に載った VIIRS というセンサーが夜の地球を毎晩観測していて、 そこに写った船の光が公開データになっています。 このページは、その2012〜2026年ぶんを日本近海について集計したものです。

漁火が見えるのは「イカ漁の季節」です。 海域ごとに時期がはっきり違います。同じ日本海側でも、 日本海西部は5月ごろ、九州北西は7月ごろ、津軽海峡は8月ごろが濃くなります。 闇雲に海へ行くより、月を合わせるほうがずっと確実です。

WHEN

全国どこが、何月に濃いか

色が濃いほど漁火が多く観測された月です。★がピーク。 晴れて観測できた回数で割ってあるので、「よく晴れる月ほど濃く見える」偏りは 取り除いてあります。

海域1〜12月ピーク
対馬・壱岐周辺
長崎県
1234567891011127月
五島列島周辺
長崎県
1234567891011128月
隠岐・島根沖
島根県・鳥取県
1234567891011128月
萩・山口北沖
山口県・島根県
12345678910111210月
玄界灘
福岡県・佐賀県・長崎県
1234567891011127月
鳥取沖
鳥取県
1234567891011125月
能登沖
石川県
1234567891011126月
津軽海峡・函館沖
北海道・青森県
1234567891011128月
積丹・石狩湾沖
北海道
1234567891011127月
三陸沖
岩手県・宮城県・青森県
12345678910111211月
但馬・香住沖
兵庫県
1234567891011125月
佐渡・新潟沖
新潟県
1234567891011127月
日向灘
宮崎県・大分県
1234567891011127月
天草・長崎西沖
長崎県・熊本県
1234567891011128月
道東・釧路沖
北海道
12345678910111210月
越前沖
福井県
1234567891011125月
若狭湾
福井県・京都府
1234567891011125月
丹後・経ヶ岬沖
京都府・兵庫県
1234567891011125月
沖縄周辺
沖縄県
1234567891011128月
庄内・飛島沖
山形県・新潟県
1234567891011127月

実績が少なく月ごとの差が読めない海域は省いています。 全31海域は海域一覧から見られます。

HOW FAR

どのくらいの高さから見えるのか

漁火は思ったより沖にあります。衛星データで測ると、 全国の漁火は岸から中央値で約12km沖でした。 一方、地球は丸いので、低い場所からでは遠くの光は水平線の下に隠れます。

灯りが見える限界の距離は 3.57 ×(√目の高さ + √灯りの高さ)km で決まります。 集魚灯の高さを5mとすると、こうなります。

見る場所直接見える距離
浜辺(目の高さ1.5m)約12km先まで
標高10m(堤防・海沿いの道)約19km先まで
標高30m約28km先まで
標高50m約33km先まで
標高100m約44km先まで
標高200m約58km先まで
函館山(334m)約73km先まで
浜辺からだと、ちょうど境目です。 砂浜に立った目の高さ(1.5m)で届くのは約12kmまで。 漁火の中央値が約12kmなので、半分くらいは水平線の下に入ります。 少しでも高い場所に登ると、見える範囲が一気に伸びます。 標高30mで約28km、100mで約44kmです。

ただし、これは灯りそのものが直接見える限界です。 強い光は空や海面を照らすので、水平線の向こうにあっても ぼんやりした明るい帯として見えることがあります。 函館の漁火夜景が知られているのは、 津軽海峡の漁場が岸から近い(中央値7km)ことに加えて、 函館山(334m)から見下ろすと約73km先まで届くからです。

海域別 — 漁火までの距離と、必要な高さ

岸に近い海域ほど、低い場所から見えます。距離は、観測された漁火の量で 重みづけした中央値です(たまに1隻通っただけの沖と、毎晩何隻も出る近場を 同じ重みで扱わないため)。

海域岸から必要な高さ
富山湾中央値 4km (半分が2〜5km)浜辺でも可
津軽海峡・函館沖中央値 7km (半分が4〜10km)浜辺でも可
熊野灘・志摩沖中央値 8km (半分が6〜27km)浜辺でも可
若狭湾中央値 8km (半分が5〜13km)浜辺でも可
天草・長崎西沖中央値 9km (半分が5〜16km)浜辺でも可
丹後・経ヶ岬沖中央値 11km (半分が6〜23km)浜辺でも可
但馬・香住沖中央値 11km (半分が7〜20km)浜辺でも可
日向灘中央値 12km (半分が8〜17km)浜辺でも可
積丹・石狩湾沖中央値 12km (半分が6〜20km)浜辺でも可
佐渡・新潟沖中央値 12km (半分が7〜22km)浜辺でも可
萩・山口北沖中央値 14km (半分が7〜39km)標高3m前後
鳥取沖中央値 14km (半分が8〜24km)標高3m前後
玄界灘中央値 14km (半分が9〜21km)標高3m前後
五島列島周辺中央値 15km (半分が6〜26km)標高4m前後
越前沖中央値 17km (半分が8〜29km)標高6m前後
三陸沖中央値 17km (半分が6〜25km)標高6m前後
留萌・天売焼尻沖中央値 18km (半分が8〜26km)標高8m前後
男鹿・秋田沖中央値 19km (半分が15〜26km)標高10m前後
隠岐・島根沖中央値 20km (半分が10〜28km)標高11m前後
道東・釧路沖中央値 20km (半分が13〜30km)標高11m前後
対馬・壱岐周辺中央値 20km (半分が10〜28km)標高12m前後
庄内・飛島沖中央値 26km (半分が14〜58km)標高25m以上
能登沖中央値 29km (半分が18〜36km)標高34m以上
常磐沖中央値 30km (半分が12〜50km)標高39m以上
沖縄周辺中央値 32km (半分が24〜56km)標高47m以上

距離は「その漁火からいちばん近い海岸まで」で測っています。 見る場所からの実際の距離とは違うことがあります。 大気の状態(気温差による屈折)でも数%変わります。

WHERE

陸から漁火が見える場所

自治体や観光協会が「漁火が見える」と紹介している場所を挙げます。 確認できたものだけを載せています。海に面していれば見えるはず、 という推測では足していません。

対象は北海道・福井県・京都府・兵庫県・鳥取県。 他の地域にも見える場所はあるはずなので、ご存じでしたら教えてください。

鳥取県

鳥取沖

衛星が捉えた漁火がもっとも濃いのは5月。5〜8月がまとまった盛期です。

この海域の漁火は、岸から中央値14km沖にあります(半分が8〜24km)。直接見るには標高3m前後が要ります(海沿いの道や堤防の上でも届く高さです)。

123456789101112

魚見台鳥取県

長尾鼻の付け根の高台。白兎海岸から鳥取砂丘方面まで日本海を大きく見渡せる。その名のとおり、もとは魚群を見張った場所。

確認元: 鳥取市観光サイト

鳥取砂丘・浦富海岸鳥取県

夕暮れに砂丘から海を見ると、水平線近くに明かりが広がる。6月から10月にかけての夜が対象と紹介されている。

確認元: 鳥取市観光サイト

岩美町(東浜・浦富)鳥取県

「星と漁火の輝くまち」として町ぐるみで紹介している。星空と漁火が同時に見える。

確認元: 鳥取市観光サイト/岩美町観光協会

北海道・青森県

津軽海峡・函館沖

衛星が捉えた漁火がもっとも濃いのは8月。7〜11月がまとまった盛期です。

この海域の漁火は、岸から中央値7km沖にあります(半分が4〜10km)。浜辺からでも水平線の上に出ます。

123456789101112

函館山北海道

津軽海峡を見下ろす夜景の名所。市街の光の向こう、暗い海に漁火が点々と並ぶ。

確認元: 函館市公式観光情報「はこぶら」

大森浜・漁火通り北海道

国道278号の宇賀浦町〜湯川町の約4.5kmが「漁火通り」と名付けられている。函館山に登らなくても、海沿いから水平線の漁火を正面に見られる。

確認元: 函館市公式観光情報「はこぶら」

兵庫県

但馬・香住沖

衛星が捉えた漁火がもっとも濃いのは5月。5・6月がまとまった盛期です。

この海域の漁火は、岸から中央値11km沖にあります(半分が7〜20km)。浜辺からでも水平線の上に出ます。

123456789101112

但馬漁火ライン兵庫県

豊岡市気比から新温泉町居組までの海岸線沿い約60km。国土交通省の「日本の風景街道」に指定されている。

確認元: 但馬県民局/日本の風景街道

大引きの鼻展望台(香住海岸)兵庫県

今子浦の断崖上にある展望台。240度ぐるりと海を見渡せる。

確認元: 香美町観光ナビ

余部埼灯台兵庫県

日本一標高の高い場所にある灯台。但馬海岸の漁火を見る場所として地域の資料に挙げられている。

確認元: 但馬検定公式サイト

竹野海岸兵庫県

休暇村竹野海岸の遊歩道展望台から、夏の夜の漁火が見える。

確認元: 休暇村竹野海岸

浜坂県民サンビーチ・穴見海岸兵庫県

新温泉町が「夕陽・漁火」として紹介している海岸。

確認元: 新温泉町

福井県

越前沖

衛星が捉えた漁火がもっとも濃いのは5月。5・6月がまとまった盛期です。

この海域の漁火は、岸から中央値17km沖にあります(半分が8〜29km)。直接見るには標高6m前後が要ります(海沿いの道や堤防の上でも届く高さです)。

123456789101112

越前海岸・越前岬周辺福井県

越前岬周辺の夕陽は日本の夕陽百選。陽が落ちたあと、同じ海に漁火が浮かぶ。海岸沿いの国道305号がそのまま展望路になっている。

確認元: 福井県観光連盟/越前町観光連盟

越前温泉露天風呂「漁火」福井県

道の駅越前に隣接する日帰り温泉。名前のとおり、露天風呂から越前海岸の夕日と漁火を眺められる。

確認元: 越前町観光連盟

京都府・兵庫県

丹後・経ヶ岬沖

衛星が捉えた漁火がもっとも濃いのは5月。5・6月がまとまった盛期です。

この海域の漁火は、岸から中央値11km沖にあります(半分が6〜23km)。浜辺からでも水平線の上に出ます。

123456789101112

間人(たいざ)海岸京都府

丹後半島の北端に近い海岸。初夏の漁火が地域の風物詩として紹介されている。

確認元: 京丹後市の宿泊施設・地域情報

HOW TO WATCH

見に行くときのこと

時間は日没後から

船は日が落ちてから灯をつけます。空が暗くなりきる頃から見え始めます。 衛星が通るのは深夜1時半ごろなので、このデータは 深夜まで操業していた船を写しています。

月明かりが少ない夜

満月の前後は海面が明るく、漁火のコントラストが落ちます。 新月に近い夜のほうがはっきり見えます。

船が出ない日もある

時化れば出漁しません。風と波の予報を見てから出かけてください。 休漁日が決まっている地域もあります。

写真を撮るなら

三脚は必須です。数秒から十数秒の露光になります。 光の粒を分けたいなら望遠、海と空を入れるなら広角。

夜の海岸です。足元に気をつけてください。 断崖の上の展望台や、街灯のない海岸道路が多くなります。 明かりを持ち、柵の外へ出ないこと。漁業者の作業の邪魔にならない場所から見てください。

HONESTY

このデータで分からないこと

今夜見えるかは分からない

過去14年の傾向であって、予報ではありません。その日に船が出るかは別の話です。

陸から見えるとは限らない

漁場が沖すぎれば水平線の下に隠れます。岸から近い海域ほど見やすくなります。

イカ以外の光も混じる

サンマ棒受網など、イカ以外の灯火漁も同じ光として写ります。

雲の下は見えない

衛星から見えないだけで、その夜に船がいなかったとは限りません。

MAP

地図で見る

全国の漁火の分布を、月を切り替えながら地図で見られます。登録は要りません。